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[東京 31日 ロイター] リスクに対するマーケットの慎重姿勢が続いている。8月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で追加金融緩和期待が高まったほか、米オバマ政権が来週発表する見通しの景気・雇用対策にも関心が集まった。
しかし手詰まり感がある政策対応への期待では、米経済失速や欧州債務問題への警戒感を払しょくするには不十分。株、債券、ドル/円ともに小動きで、野田新政権への期待も「呉越同舟」的な党人事でややしぼんでいる。
<リセッションには政策では対応困難と期待高まらず>
政策金利の2年間維持を打ち出した8月9日のFOMC。その議事録では、FRBが景気下支えに向け、一連の措置を検討したことが明らかになった。その中には、政策金利見通しを失業水準などに結びつけるなど異例の措置も含まれており、「ジャクソンホール」で浮上した追加緩和期待がより具体化して強まった。
またオバマ米大統領が30日、ラジオのトーク番組のインタビューで「われわれが経済成長率の1%ポイントあるいは1.5%ポイント引き上げを意味する措置を講じられることに間違いはない。これにより、50万から100万人の雇用が新たに生まれる可能性がある」と語ったことで、マーケットでは米国の追加金融緩和と景気・雇用対策への期待が高まった。
ただ米ダウは20ドル高止まり。前場の日経平均は小幅安と市場の反応は鈍い。日米ともに薄商いで売りも乏しいが、買い方もショートカバーが中心の構図は変わらずロングオンリーの機関投資家は様子見を続けている。東京株式市場では「欧州系投資家からの売りが出ている。オイルマネーの売りも前週から続いている。米リセッション警戒や国内政策不信が背景にあるようだ」(大手証券トレーダー)との声が出ていた。
8月の米消費者信頼感指数は44.5と2年超ぶりの低水準に低下。30年ぶりの低水準に落ち込んだ8月ミシガン大消費者信頼感指数速報(13日発表)で米消費センチメントの悪化はある程度、織り込まれていたとはいえ、さえない経済指標が多くなっていることにマーケットは警戒感を強めている。「もしリセッションとなれば政策では相場は持ちこたえられない。景気悪化を織り込んで企業業績予想が下方修正されれば、株価水準は大きく調整せざるをえないだろう」(マネックス証券・チーフ・エコノミストの村上尚己氏)という。
金融政策、財政政策ともに手詰まり感がある中で、市場の政策対応への期待感も限られている格好だ。
国内でも先行きは慎重な見方が多い。野田佳彦新首相(民主党代表)は30日、焦点となっていた党役員人事で、幹事長に輿石東参院議員会長を就任させることを決定したが、マーケットからは「人事的に党内融和を図ったことで、政策面で違う勢力が同居することになった。輿石氏は小沢一郎氏に近いとみられ、増税には反対姿勢をとるのではないかと懸念されている。第3次補正予算の財源などで紛糾することが予想され、政策の実効性に不安が強くなった」(国内証券投資情報部)と懸念を示す声が出ている。
日本の7月鉱工業生産指数は市場予想を下回る前月比0.6%上昇と減速。生産予測指数も8月が前月比2.8%上昇となったが、9月は同2.4%の低下となった。「企業が海外経済減速や円高の影響を警戒し、生産予測にブレーキをかけたためとみられる」(コスモ証券・投資情報部担当課長の田口はるみ氏)という。東証1部の予想株価収益率(PER)は13倍台と日本株の割安感も指摘され始めているが、内外の経済情勢が不透明感を増すなか積極的にリスクをとる投資家は乏しい。
<党人事で円債市場も慎重に>
野田政権の財政再建路線に期待を寄せていた円債市場も党人事で慎重な見方に変わってきた。SMBC日興証券・チーフ債券ストラテジストの野村真司氏は「小沢元代表の影響力が強まる可能性が高く、円債市場にとっては重しになりそうだ。特に長期・超長期ゾーンに対してはあまり良いニュースではない」と述べる。また政調会長に前原誠司前外相を起用することを決めたことについても、市場では「前原氏は復興増税に慎重派なので、財政再建に不透明感が強まることになる。金利への上昇要因」(国内証券)との見方が出ていた。
午前の国債先物は小幅続落。30日の米債高の流れを継いで、短期筋からの買いが先行したが、その後は戻り売りに押される展開。強弱感が対立する中、狭いレンジ圏での取引となった。取引も盛り上がりを欠いた。
現物債は全般的に金利への上昇圧力がかかった。長期ゾーンには、あすの10年債入札(2兆2000億円、2021年9月20日償還)に向けての業者の持ち高調整がみられた。月末特有の長期化需要は勢いがなかった。イールドカーブは長期ゾーンにかけて、スティープ化している。
<外為市場では米景気・雇用対策が潮目との見方も>
外国為替市場はFOMC議事録への反応が鈍い。実需のフローが中心で、月末の駆け込み売りでドル/円は前日の海外安値76.60円を割り込んだ。ADP全米雇用報告などきょうから週末にかけて重要な米経済指標が相次ぐため、「積極的に持ち高を傾けることは手控えられそうだ」(国内金融機関)との声が出ていた。
一方、景気・雇用対策を発表するオバマ大統領の来週の演説には関心が高く、「潮目はオバマ大統領の演説だと思っている。下半期で一番重要かもしれない」(みずほコーポレート銀行のマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)との声が聞かれた。「本当に財政を出せるならGDP(国内総生産)を持ち上げることが可能。ドル/円の見通しを引き上げてもいいかもしれない」(同)という。
朝方はドル不足の観測だったが、輸出企業のフローで徐々に逆転。仲値はドル余剰で通過した。輸出企業のドル売り注文の多くは78円台に置かれたままだが、「月末で必要に迫られた分のドル売り/円買いが出た」(国内銀行)との声が聞かれた。大手メーカーによるユーロ売り/円買いも観測された。野田佳彦新首相がガイトナー米財務長官と電話会談したことを明らかにしたが、「為替の話はしなかったと正直に言ったことも材料にされた」(別の国内銀行)という。
(ロイターニュース 伊賀大記;編集 吉瀬邦彦)
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